『霊枢』(鍼経) 「官鍼篇 病脈に在り 気少なく 当にこれを補うべき者は 鍉鍼を以て 井榮分輸に取る」(病が脈にあり脈が沈んで元気がない場合は、てい鍼で、各経の井榮兪経合の五兪穴を按摩する)『九鍼論(第七十八)』 「三なる者は人なり 人の成生するゆえんの者は 血脉なり 故にこれが治鍼を為すに 必ず其の身を大にして其の末を員くす 令し以て脉を按じ 陥ることなく 以てその気を致すべくんば 邪気をして独り出でしめん」(人の生命の形成は、血液の供給する栄養に頼っています。したがって、血流の滞りによる病を治療する目的のために、鍉鍼を使います。その鍼は太く、鍼先は円くします。そうすれば鍼先が当たったところを按摩して、血流を促すことができます。正気を導いて充実させることができれば、邪気は独りでに外に出ていきます。深く刺入しすぎて、誤って邪気を内に引き入れる事態にはなりません)
上記の記述から、鍉鍼は、2000年以上も前に、刺す鍼が使えない人に対して、刺さないで経脈、気血の流れをよくするために用いられてきた鍼なのではないかと考える事ができます。鍼治療の幅の広さ、まだまだ解明されていない道具の可能性が充分に考えられます。 その中でもてい鍼治療は、群を抜いて使いやすく即効性のある治療だと思います。
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